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ガラスの熱割れ
熱割れ現象
窓ガラスで陽射しが直接当たる部分は、熱を吸収して高温となり膨張します。
一方、ガラスの周辺部はサッシに呑み込まれているため陽射しを受けず、またサッシや躯体への放熱もあり、低温のままで膨張しません。
このため、高温部の熱膨張を周辺部が拘束する状態になります。
これをガラス内部の力の状態でいうと、ガラス周辺部に引張応力が発生していることになります。
この引張応力(熱応力ともいう)は、陽射しの直接当たる部分と陽射しの当たらない周辺部との温度差に比例し、ガラスのエッジ強度を超える引張応力が発生するとガラスが破壊します。
この現象を一般に熱割れと呼んでいます。(この熱割れは物理現象のため、完全に防ぐことは現状では極めて困難です。)
熱割れの特徴
熱割れは基本的には、ガラスの陽射しが当たる高温部と周辺の低温部との温度差が著しい場合に生じます。 また、熱応力の大きさは、窓の方位やガラスの品種、ガラスの使われ方によって違いがあるほかにも、日影の状態、カーテンの影響、サッシの取り付け状態、ガラスの大きさにも左右されます。 以下に、ガラスの熱割れの主な特徴を示します
1.ガラスの熱割れが発生しやすいのは、冬期の晴れた日の午前中です。特に建物の東面や南面への日射量が大きくなる一方、サッシ周辺の温度は低下しているので、高温部と低温部の温度差が広がり、熱応力も大きくなります。
2.ガラスの熱割れは、図のように、ガラスのエッジから始まり、まずエッジ辺に直角に走り、それから蛇行していることが特徴です。
3.ガラスの熱割れには、クラックが1本だけ入る非分岐破壊と、クラックが2本以上入る分岐破壊とがあります。 (図(a)、(b))
非分岐破壊は、一般に、小さな熱応力で熱割れが発生したことを示し、分岐破壊は、比較的大きな熱応力で熱割れが発生したことを示します。
網入り板ガラスの熱割れについて
特に網入りガラスについては、網を封入しているため、エッジ強度がフロート板ガラスなどに比べて低くなります。 また、排水機構が機能しないなどの理由により、雨水などがガラスエッジに滞留すると、エッジ部分の線材を錆びさせ、その体積膨張によってエッジ強度が低下することがあります。
熱割れの防止策について
熱割れの防止対策は、ガラスの温度をできるだけ高くしないことです。具体的な方法としては、
- 「窓際にダンボールなどを積まないこと」
- 「ブラインドを密着させないこと」
- 「クーラーの室外機等を密着させないこと」
- 「冷暖房用のエアーをガラスに直接当てないこと」
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